プロランナー大迫傑さんを迎えて
第4回東三河ジュニアスポーツ勉強会
3月26日(土)に豊橋市公会堂で第4回東三河ジュニアスポーツ勉強会が開催された。この勉強会はNPO法人TTランナーズ仲井雅弘理事長、産婦人科医宮本由紀先生らが中心となって4年前より定期的に行われてきた勉強会。第4回は新型コロナの影響で2年ぶりの開催となった。成長期の子供たちに必要な知識を啓発することが目的とされているこの勉強会の今回のテーマは「健康で強くなるために」と題された。各分野から8名の専門家の先生方が登壇し、それぞれ専門的な講演とパネルディスカッションが行われた。会場にはスポーツをする子どもやその親、実際に現場でスポーツの指導にあたる指導者など多くの人たちが集まり、熱心に話を聞いていた。
第1部の講演では、初めに早稲田大学スポーツ栄養研究所の浜野純招聘研究員による子どもの成長期に必要な栄養素についての講義でスポーツ選手の効果的な食事摂取方法についての話がされた。2番目に大阪体育大学の土屋裕睦教授よりプレーヤーの主体性を育むコーチングとして目標達成のための心構えや主体性を生み出すための条件についてなどの話がされた。3番目は日本スポーツ協会スポーツ医・科学委員会の川原貴委員長よりアスリートの鉄欠乏性貧血についてその原因、症状や治療、予防についての話がされた。4番目は早稲田大学スポーツ科学学術院の鳥居俊教授がジュニア期の頑張りはどこまで許容されるかということで、ROCフィギュアスケート選手の問題を例に挙げるなど発育抑制の危険性や健全な発育が保たれる必要性についての話がされた。講演のなかでも、最後に話された昨年の東京オリンピック男子マラソン日本代表のプロランナー大迫傑さんは実体験に基づく非常に興味深い話をし、特に参加者全員の注目を集めていた。
第2部では、大迫さんを含む第1部5名の講師に加え、東京マラソン財団伊藤静夫理事長、仲井理事長、宮本医師の計8名でパネルディスカッションが行われた。第1部の講演内容に触れながら食生活やスポーツ障害についての話や大迫選手の学生時代のリアルな話などが中心となった。特に、大迫選手はトップアスリートとして独自の考え方や行動力を持っており、なかなかマネできることではないが、アスリートとしては是非参考としたいような話が聞けたのではないかと思う。
この勉強会を通じて筆者が個人的に印象に残ったのは「大器晩成でいい」というワード。ジュニア期のスポーツは「そこがゴールではない」指導者も親も結果にこだわり過ぎずに、子どもたちの先を見据えて健全な発育が保たれるような取り組みをするべきであるということ。また、トップ競技者だけでなく全ての競技者を讃え、目を向けることの重要性などの話は特に印象に残った。
これだけ多くの専門家やトップアスリートの最先端の生の声が聞け勉強できる機会はそうそうないこと。今後も開催されるであろう東三河スポーツ勉強会はスポーツをする子どもと関わる人たちには是非とも参加して頂きたい。